落語家見習いで大変な「残飯処理」のエピソード

体験記
群馬俊貴

『全ての個人が個人で稼げる時代を作りたい』をモットーに情報発信中。20歳で林家一門に弟子入りし、25歳でGReeeeNやAdoの所属事務所からスカウトされる。

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「残飯処理のエキスパート」でお馴染みの群馬俊貴です!

今回のテーマは「落語家見習いで大変なのは残飯処理」だヨ

落語家見習いは大変なイメージがある方が多いと思います。

私は専門学校卒業と同時に、某落語家へ弟子入り志願して一年ほど落語家見習いとなり、通い弟子として、日々修行に励んでいました。

私が実際に体験した記憶を頼りに、落語家へ弟子入りして1番大変だと思ったことを書いていきます。

結論から言うとズバリ「残飯処理」です。これだけ言うと理解できないかと思いますので詳しい訳を書いていきます。

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師匠が残した料理は完食するのがルール

私が通い弟子として、土曜日のみの修行だったからかもしれませんが、とにかく土曜日は外食が多いのです。昼間はランチを食べたり、夜は居酒屋へ行ったりと常に師匠と行動しなければなりません。

そこで、ランチは一人前しか食べないのでまだいいのですが、居酒屋に行った時は大変で地獄のようでした。

なぜなら、師匠が後先を考えずに次々に料理を注文していってしまうのです。これは私が入門したことで、代わりに食べてくれる人がいるからという安心感なのか、落語業界の洗礼なのかは定かではありませんが、とにかく師匠や兄弟子、御上さんが残した料理を食べ続けなければいけないのです。

もう食べれない時はどうすればいいかというと、トイレへ行くのです。

そして、戻ったら何事も無かったかのように食べ続けなければいけません。

とにかく、自分より目上の者がいる場合は下の者が全て処理しなければいけないということです。

師匠そのものがルールになる

一般の生活に比べて、師匠が残した料理を全て食べるだけでも精一杯な感じはしますが、これだけでは終わりません。食べる順番にも気を付けなければいけません。箸をつける順番は師匠→御上さん→兄弟子→それ以下、という流れですので見習いの私は当然一番最後に箸をつけることになります。

ここで私の体験談を少しだけお話します。

中華料理居酒屋で体験したエピソード

ある中華料理居酒屋的なお店に、師匠夫婦と兄弟子と行くことになった土曜日の夜です。

いつものように、師匠は明らかに人数と反比例している量の料理を注文し始めました。まるで、私へ戦いを挑んでくるかのような表情でひたすら注文をしまくります。

続々とテーブルに料理が運ばれてきますが、誰一人箸をつけようとはしません。師匠から箸をつけるルールが発動された瞬間です。

ついに師匠が料理に箸をつけました。

よし。

後は御上さんと兄弟子が箸をつければ戦いのゴングが鳴る!

そんな思いで、心を踊らせながら待っていると、御上さんが言いました。

「私はトイレ行ってくるから先に食べてていいわよ」

私は初めての発言に戸惑いながらも様子と空気の波長を感じながら、じっと座っていました。そうすると、兄弟子がなんと料理に箸をつけたのです。

私は予想外の展開に慌てつつも、師匠の顔をチラッと見ました。特に変化はなく、何事も無かったかのような表情で美味しく料理を楽しんでいました。では、私も食べても何も問題はないだろうと、あらゆるリスクを想定した結果、料理に箸をつけました。

師匠
師匠

コラ!

おかみさんが食べてないのに、先に食べちゃ駄目だろ!

は・・・はい。

申し訳ございませんでした。

何が起きているのか理解が不能でした。

ゆっくりと何が目の前で起きているの再確認してみました。まず、師匠が食べて、御上さんが先に食べていいよと言って、兄弟子が先に食べて怒られなくて、自分が先に食べたかた怒られたのか。

考えた結果よく分かりませんでした。

師匠の発言がルールそのもの

御上さんが先に食べていいよと言ったからと言って、手をつけてはいけない。これが落語業界では当たり前のルールとのことでした。ただ、私としても納得がいかないことは、何故兄弟子は良かったかのかということだけです。しかし、そんなことを聞くことすらできないくらいに説教を受けてました。

これからも分かるように、師匠の発言そのものがルールで、黒を白と言えば白になり白を黒と言えば黒になる。そんな世界でした。

そのため、このような考え方が出来ないと落語家の弟子を続けることすら困難で、私もこのようなことが続いた結果、一年ほどで辞めるという決断をしてしまいました。

想像する以上の覚悟がないと難しいものがありますが、一度良い経験になる程度の意気込みで飛び込んでしまうのも良いと思います。ただ、諦めるなら早いうちがオススメです。

例えるなら理不尽の塊

私は落語業界を間近で一年ほど見てきました。長年いる人からすればたったの一年かもしれませんが、私にとっては貴重な一年の訳であくまでも私の目線から見た感想を言わせていただきます。

落語業界は理不尽の塊で、弟子入りする師匠によるものも大きいですが、基本的には理不尽しかありません。

その理不尽なことに耐えるのが修行だと思っていて、その忍耐力が後の芸にも繋がってくるのかなと思いました。何事にも忍耐力は必要ですし、我慢しなければ学ぶことも学べないとは思っていますので、全否定しているわけではありません。しかし、理不尽に耐えられる人しか続けていけないのは少しハードルが高すぎるのかなという考えです。

落語家を目指している方は、どんな理不尽にも耐えられる精神力が必要なのと、高いレベルの目標が必要です。もちろん私のように軽い考えで入っても結果的に学ぶことは出来るので、本当に落語の世界へ飛び込んでいきたいのであれば、何も考えずに飛び込むべきだと思います。

【体験談】落語家に弟子入りする前に知っておきたい現実5選

最後に

落語の世界では理不尽な事が横行しています。その中の1つとして、師匠らが残した料理を淡々と食べ続けなければなりません。

これが、私が感じた物理的にも精神的にも体力的にもきつかったことですし、もし落語を続けていたら一生涯これと同じようなことをしていかなければなりません。

このような、残飯処理を含めた理不尽のせいで何人もの落語家の卵が消えていったのも事実ですし、私が見てきた一年の中でも入れ替わりは激しかったです。

もしも、将来落語がやりたいという方は、今から大食いになれば多かれ少なかれ苦しいことを軽減することができるかもしれません。

最後までご覧いただき感謝です!

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